えみこの読書日記。
読んだ本の感想をてきとーに。
文の最後にはえみこの勝手な採点付き!
太陽と毒ぐも / 角田 光代
太陽と毒ぐも
太陽と毒ぐも
角田 光代

お互い惹かれていても、どこか譲れないところがある。
お風呂に入らない彼女、万引癖のある彼女、通販狂の彼、
酒が好きな彼女と酔った彼女の愚行を許せない彼……などなど。
そんな相容れない部分を持ったカップルを描いた11の短編集。

なるほどなあ、そうだよなあ、ってすごく納得した。
本にも「100%理解しあえるなんてない」みたいなコメントがあったけど、
まさに真実だと思う。だって違う人間だもの。
一緒にいる2人という関係においては、どこで妥協しあえるか、
どこで折り合いをつけられるかってのがポイントだ。
例えば、そのほかの相性が完璧だと思える相手でも、
お風呂に入らない彼女は絶対イヤだという人もいれば、
3日ならOKって人もいるだろう。
そんな大袈裟なことじゃなくても、彼氏の前でオナラする女はイヤだとか、
お風呂から出て服を素っ裸で歩き回るのはイヤだとか、いろんな例はある。
(ちなみに上記2つ、私はあてはまりませんよ。念のため)
他人から見たら「そんな些細なこと!」と思われることでも、
当人にしたら大問題。そのあたりは感覚の問題だけに判断は難しい。

私も昔は相手に完璧を求めたけど、完璧なんてないんだと気が付いた。
だから今の旦那ともお互いどこかで妥協し、折り合いをつけている。
これって別に悪いことじゃない。
アカの他人が暮らしていくには必要なことだ。
もう今では、お互いの違いの妥協点を見出せたようで、
ぶつかることはほとんどなくなった。よいことだと思う。

でも私が求めていたはずの完璧さって、今思うとなんだかよくわからない。
「パートナーに求める条件挙げてみて」って言われても多分挙げられない。
どういう人が理想なのか? 自分の求めるものがわからない。不思議だけど。
まあ今に満足しているなら、それが理想の形って思うことにしよう。(85点)
| えみこ | 角田 光代 | 01:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
マドンナ / 奥田 英朗
マドンナ
マドンナ
奥田 英朗

40代のサラリーマンを主人公にした短編5編。
前回読んだ『ガール』に続いて、これもかなりアタリだった。

基本的に私は読みながら主人公に入り込むタチなので、
できれば主人公は自分と同性であるのが理想だ。
だから40代のオジサンの話なんて、どうよ?と思ったけど、
いやはや、予想に反してこれが相当おもしろかった。

年下の部下に恋する男、ダンサーを夢見る子供を認められない男、
会社ではデキル男とされているが妻から認められない男……、
日本中にたくさんいそうなサラリーマンたちの本音がリアルに綴られている。

なかでも一番おもしろかったのが「ボス」という話。
新しい女性ボスがアメリカ的文化を持ちこみ、それに困惑する男たち……。
私が以前会社勤めをしていたときもよく感じたのだが、
やはり男性は昔ながらの体育会系というか、義理と人情を大事にする人が多い。
それに比べると女性は「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と
割り切っている人がほとんどだった気がする。
まあ職場の環境にもよるし、最近の新入社員はだいぶ割り切り型らしいけど、
やはり40代〜50代の人の間には、まだそうした傾向が強いだろう。

女の私が読んでも「あー、わかる、わかる」と何度も思った。
登場する男たちの心情は、どれも想像していたものに近かった。
っていうことは、やっぱり男性って単純なのかしら?
これを読むと、なんだかサラリーマンのオジサマたちがかわいく見えてくるかも。(90点)
| えみこ | 奥田 英朗 | 03:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
日々のこと / 吉本 ばなな
日々のこと
日々のこと
吉本 ばなな

久々の読書日記。
少し前に読んだ本ばかりなので、
どこまで頭に残っているか不安だけど、とりあえず、書く。

これは20代半ばの日々を綴ったエッセイ。
なんてことない日々のなかでのちょっとした出来事をユルリと綴っている。
人は何もないような日々のなかでも様々なことを思い、考えている。
平凡な日常のなかにも、これだけ拾えるネタはあるのかと感心した。

ただ内容としては、正直ちょっと物足りない感じがした。
それは彼女の日々があまりにホンワカとし過ぎていたから。
同じエッセイでも、山田詠美さんのものは彼女の日常自体が刺激的なので、
それを知れるだけでも面白い。この辺は単純に好みの問題だと思うけど。

この本で一番興味を惹かれたのは実は文庫版の「あとがき」。
かなり前に書いたこの文章の拙さを、彼女はしみじみと語っている。
でもこれらの文章は若かったからこそ書けたもので、憎めないものであるという。
人は年を取るとシンプルになるのだそうだ。
書きたくないものを書いたり、人に気を使って良く見せて書いたり、
そういうことをしてしまうのは若さゆえだった、と彼女は言う。

このあとがきを読んでハタと気がついた。
私の文章もそうかもしれない、と。
(もちろん文章のレベルは根本的に違うのだが、それは置いておいて)
例えばてきとーく。日々のことを綴る適当のブログといいながら、
最近見てくれる人が多くなりすぎて、以前より本音を書かなくなった。
本音を書いて人を傷つけたり、人から批判されるのが怖いのだ。
でもよく考えるとそれって本当につまらないことだ。
どこまで本音を書くのが良いかはわからないけど、自分の書きたいことについて
もっと考えたほうがいいんだろうなと久々に考えさせられた。(70点)
| えみこ | 吉本 ばなな | 03:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
PRESIDENT (プレジデント) 2007年 1/29号 [雑誌]
PRESIDENT (プレジデント) 2007年 1/29号 [雑誌]
PRESIDENT (プレジデント) 2007年 1/29号 [雑誌]

明らかにターゲット層ではないとわかっていたから、
特に手に取ったこともなかった雑誌、『PRESIDENT』。
先日、たまたま新聞の広告を見たら、かなり興味がある特集だったので、
会社を辞めた今頃になって初めて買ってみた。

「特集!あなたがいちばん輝く74のヒント」と題し、
74の様々な問いに各界の著名人が答えているのだが、これがかなり当たり。
一冊まるごとかなり面白くて、650円なら迷わず買い!

仕事篇、家庭・健康篇、マネー篇の3篇からなるのだけど、
もともと興味を持ったのは、マネー篇。
一例を挙げてみると、
・資産1億円の富裕層に最短でなるのはどうすべきか
・結婚できる年収の下限はいくらと考えたらよいか
・年収500万円なら何人、中学から私立に行かせられるか

などなど全15のヒント。面白そうでしょ?

他のパートもかなり充実していて、ついつい読みふけってしまった。
なかでも気に入ったのが家庭・健康篇。
・娘がメイドカフェでバイトしていたらどうすべきか
・一緒に飲んでいた友人が車で帰るとと入ったらどうするか

なんて今の時代を象徴したものから、
・いまの世の中で「上流」に成り上がるにはどんな道があるのか
など思わず読み入ってしまうもの。さらには、
・稼ぎの良い妻が「専業主婦」になると言ったらどうすべきか
という思わず私がおぉっと反応してしまうものまで様々。
なかには、
・子どものセックス、何歳からなら黙認していいか
なんて問いもあって回答者は飯島愛さん。うーん、まさに適任。

仕事篇では、
・エレベーターで社長と二人だけになったら何を話すべきか
・職場で自分以外全員mixiに入っていたらどうすべきか
・有能な部下が突然、辞表を出してきたらどうすべきか

など、会社勤めをしている人ならつい読みたくなる内容ばかり。

ちなみにAllAboutの社長、江幡哲也氏も執筆。テーマは
・情報源がグーグル頼みの部下を変えるにはどうしたらいいか
ガイドとしてもなるほどと思う内容だ。

興味のある人はぜひぜひ読んでみてください!
| えみこ | ジャンル別-お仕事論 | 00:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか / 北尾 トロ
キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか
キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか
北尾 トロ

友人のブログで紹介されており、タイトルに惹かれて購入。
いやはや、かなりヒットだった。

タイトルに代表されるような、
「日常やってみたいけど勇気を出せずにできないでいること」
を体を張って試してみる体験レポート。

内容は「まずい蕎麦屋でそれを指摘できるか」とか、
「電車でマナー違反をしている客を注意できるか」とか、
たわいもないことなんだけど、確かにやるにはちょっと勇気がいることばかり。
レポートの内容もさることながら、独特の語り口調がおもしろく、
ついつい引き込まれてしまい、途中でやめるつもりが最後まで一気に読んだ。
とあるカフェで少し休むだけのつもりが、結局数時間も居座ってしまった。

そういえばこんなことがあった。
先日乗った成田エクスプレスで私の隣のおやじが超よっぱらいだった。
本当にうるさかったけど、何もいえず無視して寝込むことに決めたが、
酒臭さもひどくて眠れない。すると逆サイドにいたおじさんが、
「少しは静かにしろ!」
と一喝。その声でおやじは静かになったものの、品川で降りるときに、
「ここはプライベート空間じゃないんだよ! お前何様のつもりだよ」
と捨てゼリフを吐いて去っていった。
注意したおじさんはてっきり身内かと思っていたらアカの他人だったよう。
しかし、このときは車両の全員がその態度のひどさに辟易していたので、
おやじの捨てゼリフに思わず笑い声がもれるほど。
あのときは同じ車両のみんなが、勇気あるおじさんの味方だった。

こんなふうに勇気のある人を久々にみた。見習いたいものだ。
あっ、でもその前に酔っ払って注意される側にならないよう気をつけるのが先か。(85点)
| えみこ | 北尾 トロ | 19:19 | comments(0) | trackbacks(2) |
真昼の花 / 角田 光代
真昼の花
真昼の花
角田 光代

兄を追うようにフラフラとアジア放浪の旅にでる「真昼の花」と
日常のなかの孤独を浮き彫りにした「地上八階の海」の2編収録。

圧倒的に衝撃的だったのが、「真昼の花」。
フラリと旅に出て戻らない兄を追うようにアジアに旅に出た主人公。
お金がなくなっても帰ることをせず、日本企業の前で物乞いをする。
そこまでして旅を続ける理由が何なのか、本人でさえわからない。

世界を旅するあまたのバックパッカーのなかにはこんな人もいるだろう。
アジアの格安宿街では、クスリに溺れ、日々をただやり過ごすだけの
バックパッカーの姿もそう珍しいものではないときく。

「結局日常に戻って、現実のなかで勝負しなきゃダメだよ」
というようなニュアンスの台詞があったのだが、これはそうだと思う。
旅は非日常。そこで何ができたとしても、結局勝負の場は日常にある。
勝負しなくてはいけないわけじゃないけど、みんないつかはどこかへ帰るのだ。

長く旅をしていると、そういうことが怖くなることがあるらしい。
日本に帰って無事に社会適応できるかどうか、
そんな大袈裟なことじゃなくても、職がみつかるかどうかとか。
でも旅はいつか終えなくてはならない。
旅が人生になることもあるかもしれないが、基本的にはいつか終わるものだ。

仕事だけが人生じゃない、とは心から思う。
でも「勤労」は国民の三大義務のひとつ。
生きていくためにお金を稼ぐことは、誰もがやらなければならないことだ。
なんて今の私はえらそうに言える立場じゃないけれど。

なんだかいろいろなことを考えさせられる話。
旅人にはとくにオススメしたい。(95点)



| えみこ | 角田 光代 | 19:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
愛がなんだ / 角田 光代
愛がなんだ
愛がなんだ
角田 光代

マモちゃんへの恋にのめりこむOLテルコ。
適当なときに呼ばれて一緒に遊ぶことはあるけど彼女じゃない。
傍からみれば、まさに「都合のいい女」。
でもテルコはそんなことは気にしない。
いつでもスタンバイOKでいたいからと、会社も辞めてしまう。
常識的に考えたら、ストーカーまがいな行為をも繰り返してしまう。

こんな恋ってあるんだろうか。
私はここまで恋にのめりこんだことはないし、
テルコに比べたら恋の最中でももう少し冷静な目を持っていると思う。
それがいいのか悪いのかはわからないけど。
ここまで自分を落としてもつながる価値のある相手ではないはずのに、
相手が自分を好きでないことが明確なのに、テルコにはそれがわからないのだ。
恋は盲目とはよくいったもの。

とはいえテルコの気持ちもわからないではない。
私も以前、冷静に考えれば自分に気がないことが明確な相手にたいし、
執拗なアタック(死語?)をしてしまったこともあるし、
今の彼(ダンナ)に片思いをしていたときは、
同じ会社の寮だったので、休日駐車場の彼の車をチェックしては、
「今いるんだな」とか「朝早くからどこにいったんだろう?」とか
いろいろ思ったこともある。
まあ、これくらいならかわいいものか。

恋のスタイルはいろいろある。
でもテルコのスタイルはあまりにも私とかけ離れていて、
とてもじゃないけど感情移入することはできず、むしろイラついた。(80点)
| えみこ | 角田 光代 | 18:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
してみたい!世界一周 / 吉田 友和, 松岡 絵里
してみたい!世界一周
してみたい!世界一周
吉田 友和, 松岡 絵里

世界一周をした夫婦による、実用的世界一周本。
テーマ別(グルメ、世界遺産)の見所紹介や、世界一周航空券の使い方、
世界一周をした旅人たちへのインタビューなど充実の内容。

私のお気に入りはテーマ別の見所紹介。
よくもまあ世界のあちこちをこれだけ知っているものだと、
改めて世界一周をすることで得るものの大きさを知った気がする。

実はこの本の発売記念パーティに参加したのだけど、
そこにはインタビューを受けた旅人たちもきていて、
生で話を聞けたのがおもしろかった。
みんなそれほど気負わずに旅にフラリと出ている。この本を読んで、
「なんだ、世界一周ってかんたんにできるんじゃん」
って新たに思う人も増える気だろう。
著者のお二人もそれは嬉しいことだといっているけど。

今は世界一周をする気がないので、参考書として使うことはないけど、
とにかくスゴクできのよい本で、う〜んさすがとうなってしまった。(90点)
| えみこ | ジャンル別-旅の本 | 18:34 | comments(0) | trackbacks(2) |
思い出トランプ / 向田 邦子
思い出トランプ
思い出トランプ
向田 邦子

向田邦子さんといえば、よく国語のテストの問題で作品を目にした。
「これ、おもしろそうだな。読んでみたいな」
と思って出典をみると、たいてい彼女のものだった。
にもかかわらず、今日まであえて手に取ったことはなかった彼女の本。
ようやく読む機会がやってきた。

文体は当時感じたとおり、私の好みのものだったが、
内容は想像していた以上にもっと深かった。
日常のことをテーマに綴っており、難しい表現も使われていないので
読みやすいが、それゆえにそのテーマの深さにうならずにはおれない。

これは13の短編集。
日常のヒトコマを切り取って、そこにある人間の心を見事に描きだしている。
何もないように見える日々のなか。
そんななかに、人間とはこれだけのドラマを内包しているのだ、
ということに改めて気がつける。
それをこれほど明確に、時には残酷なまでにキッパリと描いている彼女の能力に、
本当に今さらながらだが、深く感心するとともに、
「人生はドラマだ」という当たり前のことを再認識した。

ほかはどんなテーマで書いているのだろう?
久々にだいぶ興味をそそられる作家を見つけて嬉しい。(90点)
| えみこ | 向田 邦子 | 21:14 | comments(4) | trackbacks(0) |
カンヴァスの柩 / 山田 詠美
カンヴァスの柩
カンヴァスの柩
山田 詠美

表題作である「カンヴァスの柩」のほか「オニオンブレス」と「BAD MAMA JAMA」の3編を収めた中編集。

オニオンブレスは倦怠期の夫婦の心温まるエピソード。
山田詠美さんにしては珍しい感じだったが、キュンときた。

BAD MAMA JAMAは結婚しているのに他の人を好きになってしまった女性の話。
近くにいるために友人の彼氏にするが、その思いはとまらず……。
スゴイ勢いでわかるなーと共感できた話。なんとなく、ではあるけど。
こういう結論でよかったし、きっとこういう結論になる人は多いのかも。

カンヴァスの柩はバリ島の青年と日本人女性との熱愛を描く話。
一番、山田詠美さんらしい話という気がする。
ここまで愛に溺れるという経験は私にはないので、正直うらやましい。
しかし、日常を生きていると、愛以外に考えないといけないことも多すぎる。
旅先だからこそ、よけいなしがらみがないからこそ、
ここまで自由に振舞えているのかもしれないな、と思うと少し納得する。
それでもここまで愛し合うことは、そう簡単ではないのだろうけど。

どれもよかった。
どれも心のどこかが刺激される話。
愛する心が減っていると思ったら読みたいものばかりだ。(90点)


| えみこ | 山田 詠美 | 02:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< July 2008 >>

このページの先頭へ